整形外科とは

身体を動かすのに必要とされる器官や組織を総称して運動器と呼びます。具体的には、骨(軟骨)、筋肉、腱、関節、神経、靱帯などのことをいいます。これらで起きたとされる異常や病気について診療していくのが整形外科です。なお年齢制限はなく、生まれたばかりの新生児からご年配の方まで全世代が対象になります。保護者の方から見て、お子様の歩き方がおかしい、首が同じ方向ばかり向いている、よく転ぶといったことがみられるようであれば、一度ご受診ください。

当診療科を受診される患者様は、肩こり、腰痛、ぎっくり腰、膝が痛いなど、加齢の影響や日頃の生活習慣が引き金となって起きる症状を訴えて来院されるケースがよく見受けられます。また、皮膚や筋・腱、靱帯などの軟部組織の損傷、骨折や脱臼、打撲等の外傷についても診療範囲となります。これらは日常生活でよく起きるケガでもありますが、スポーツで引き起こされたケガであれば、特殊なケースとして取り扱います。そのためスポーツ整形外科で対応することもあります。

診察の流れについて

まずは問診(あらかじめ問診票に症状等の記入をすることもあります)です。次に身体診察となります。この場合、異常があるとされる部位を中心として、視診、触診等をしていきます。さらに整形外科的な診察として、関節の動きや筋力の評価、神経学的診察、徒手検査なども行われます。さらに医師が必要と判断した場合は追加検査として、画像検査(X線撮影、超音波検査、CT、MRI 等)、生体検査(骨密度検査、関節鏡検査 等)、検体検査(血液検査、尿検査、関節液検査 等)なども実施、総合的に判断して診断をつけていきます。

治療は保存療法と手術療法

治療をする場合ですが、整形外科では保存療法と手術療法の2つに分けられます。前者は、薬物療法(NSAIDs等の消炎鎮痛薬、ステロイド、局所麻酔薬 等)、運動器の機能回復、廃用症候群の予防等を目的としたリハビリテーション(理学療法、作業療法)があります。そのほか、患部をギプスやテーピング等で固定して安静にする固定法、骨折や脱臼の際に用いられる徒手整復術なども含まれます。

一方の後者である手術療法は、外科的治療のことです。目的の大半は、機能の再建となります。例えば、変形性関節症で破壊された関節の代わりとなる人工関節置換術、椎間板ヘルニアで変形した椎間板を切除する椎間板切除術、断裂した腱や損傷した靱帯を早期に縫合する腱・靱帯縫合術などが行われます。

診断の結果、入院加療や詳細な検査、高度な医療機器による治療が必要となれば、当院と提携している総合病院や専門的な医療機関を紹介いたします。

当診療科で対応する主な症状(例)

  • 首や肩にこりがみられる
  • 腕を挙げることができない
  • 手や肘、腕、あるいは首や肩に痛みがある
  • 背中、腰、股関節、膝、脚などが痛む
  • 手や足にしびれを感じる、あるいは感覚が鈍くなっている
  • 力を手足に入れることができない
  • 手指がこわばっている、もしくは脹れている
  • 指を伸ばす際に引っ掛かりを感じる
  • 突き指をしてしまった
  • 捻挫、骨折、打撲、脱臼などのケガをした など

部位(症状)別でみる整形外科領域の主な疾患

よくみられる症状考えられる主な疾患
首の痛み頸椎症、寝違え、むち打ち症、頸椎症性神経根症、頸椎椎間板ヘルニア 等
肩のこり、痛み頸肩腕症候群、五十(四十)肩(肩関節周囲炎)、肩腱板損傷 等
手のしびれ頸椎椎間板ヘルニア、手根管症候群 等
肘の痛み腕骨外側(内側)上顆炎(テニス肘、野球肘など)、肘内障、肘部管症候群、変形性肘関節症、離断性骨軟骨炎 等
手・手首の痛み手根管症候群、関節リウマチ、腱鞘炎、手指変形性関節症 等
手の指の痛みばね指、突き指、デュピュイトラン拘縮、ヘバーデン結節 等
腰の痛み腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰部脊柱管狭窄症、胸・腰椎圧迫骨折、腰椎分離・すべり症、坐骨神経痛、骨粗しょう症 等
ももの付け根の痛み変形性股関節症、単純性股関節炎 等
足のしびれ腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、慢性閉塞性動脈硬化症(ASO) 等
膝の痛み変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、オスグッド病(小児)、関節水腫、関節ねずみ(関節内遊離体) 等
すねの痛みシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎) 等
足の痛み足底筋膜炎、扁平足、アキレス腱断裂 等
足指の痛み外反母趾、巻き爪(陥入爪)、痛風 等